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研究概要 - 近畿大学医学部生化学教室

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研究概要

研究内容

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私達が目指していること

現在、日本人の2人に1人ががんに罹患し、3人に1人はがんで死亡するとされています。高齢化社会の到来によりがん罹患・死亡率は、今後、さらに増加することが予想されます。従って、がんをより深く理解し、疾患の早期発見とより有効な治療法の開発に結びつけることは、我々が健康な社会生活を送る上で大変重要です。近年の急速な医学の進歩によりがんの治療成績は目に見えて向上していますが、早期発見が困難ながん、治療抵抗性のがん、再発・転移性のがんにどう対処するかなど、解決すべき課題は山積しています。

がん化は遺伝子の異常・多様性と環境要因との動的な相互作用により引き起こされると考えられます。近年、次世代シーケンサーをはじめとするテクノロジーの進歩により、がんに対する我々の理解は飛躍的に進みました。しかしながら、正常細胞、がん前駆細胞、がん細胞ががん化の過程で直面する様々な選択圧力に対してどの様に反応し、進むべき道筋を選択し、その過程が進行していくのかは十分に解明されていません。がん細胞は、がん化の非常に早期から、細胞機能発現プログラムを書き換えることで、生育環境に適応し、免疫監視機構から逃れ、生存と増殖の継続を確かなものとしていると考えられています。我々は、特に、環境応答とエピジェネティクス制御に重点を置いて研究をしています。

エピジェネティクスとは、DNA塩基配列の変化を伴わない遺伝子発現の変化を意味します。そういった情報はヒストンなどのDNA結合タンパク質の修飾、核酸修飾、非翻訳RNAの発現などにより制御されます。エピジェネティクスによる遺伝子発現制御が、前がん病変の段階から発育進展にいたるまで、がん細胞の生物学的特性の獲得に寄与していることが近年明らかとなってきています。従って、革新的ながん予防と治療法を開発するためには、内的・外的環境シグナルに対する細胞応答を制御する分子機序の詳細を、個体レベルで明らかにする必要があると考えます。我々は、ゲノム編集・改変等の技術を用いて作成したモデルマウス、培養細胞、オーガノイドを用い、エピゲノム解析、細胞生物学的・生化学的アプローチ、イメージング技術等を用いて解析しています。また、がん予防の見地から、老化の制御にも興味を持ち、研究分野を広げています。

これまでの研究概要

1. 細胞死制御

細胞の環境応答の表現系の一つである細胞死に着目しています。細胞死の機能異常はがん細胞の特質の一つとされており、実際、細胞死制御因子の機能異常とがん化には密接な関連があることが多数報告されています。具体的には、TP53信号伝達経路に重点を置き、細胞死制御に関わる遺伝子群に焦点を当てその分子機序を研究しています。

Okada H, Suh WK, Jin J, Woo M, Du C, Elia A, Duncan GS, Wakeham A, Itie A, Lowe SW, Wang X, Mak TW. Generation and characterization of Smac/Diablo-deficient mice. Mol Cell Biol. 22:3509-3517 (2002)

Okada H*, Bakal C, Shahinian A, Elia A, Wakeham A, Suh WK, Duncan GS, Ciofani M, Rottapel R, Zuniga-Pflucker JC, Mak TW. Survivin loss in thymocytes triggers p53-mediated growth arrest and p53-independent cell death.J Exp Med. 199:399-410 (2004) (*Corresponding author)

Sasaki T, Marcon E, McQuire T, Arai Y, Moens PB, Okada H. Bat3 deficiency accelerates the degradation of Hsp70-2/Hspa2 during spermatogenesis. J Cell Biol.182:449-458 (2008)

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J Exp Med. Vol. 199, 3. Cover art by Graham Hutcheson

2. DNA損傷応答

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外的環境シグナルの一つとしてDNA損傷に着目しています。

DNA損傷とその修復機構の異常はがん細胞におけるゲノムの不安定を引き起こし、がん化を誘導するとともに、がん細胞の不均一化を生み出す重要な要因となり、がんの悪性度、治療抵抗性獲得に寄与すると考えられます。

我々はDNA損傷応答、特にdouble strand break (DSB)に対する細胞応答を制御するメカニズムを研究しています。

Sasaki T, Gan EC, Wakeham A, Kornbluth S, Mak TW, Okada H. HLA-B-associated transcript 3 (Bat3)/Scythe is essential for p300-mediated acetylation of p53. Genes Dev. 21:848-861 (2007)

Tong KI, Ota K, Komuro A, Ueda T, Ito A, Koch AC, Okada H. Attenuated DNA damage repair delays therapy-related myeloid neoplasms in a mouse model Cell death & Disease 2016 Oct 6;7(10):e2401. doi:10.1038/cddis.2016.298.)

3. ヒストンメチル化制御

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がん化の過程には遺伝子変異とともに、主として環境要因によって形成されるエピジェネティクスを介する短期的、長期的遺伝子発現制御が重要な役割を果たすと考えられます。

しかしながら個体におけるその機能の詳細は十分明らかにされていません。我々はヒストンメチル化修飾を制御するメカニズムに着目し、がん化の過程への影響を研究しています。

Kawazu M, Saso K, Tong KI, McQuire T, Goto K, Son D-O, Wakeham A, Miyagishi M, Mak TW, Okada H. Histone demethylase Jmjd2b functions as a co-factor of estrogen receptor in breast cancer proliferation and mammary gland development.
PLoS One. 6:e17830 (2011)